皮膚外科

皮膚外科では、皮膚に生じた疾患を外科的に治療していきます。具体的には、皮膚に発生した腫瘍やできものの切除、縫合などを行っていきます。

腫瘍については、良性と悪性があります。良性の腫瘍は粉瘤、脂肪腫、ほくろなどがあり、当院では良性腫瘍を中心に治療を行います。良性腫瘍は放置していても問題のないケースもありますが、美容面で気になるという場合の切除も可能です(自費診療になる場合があります)。悪性の場合は、他の部位に転移する、周囲の組織を破壊するなどのリスクがあり、悪性を疑い切除が必要となれば提携先の総合病院をご紹介いたします。

形成外科
(火曜AM、木曜AM)

形成外科が取り扱う分野は多岐にわたります。大学病院や総合病院では他科と連携して手術などで欠損した部位の再建を行なったり、顔面や手足の生まれつきの異常の治療に当たることもしますが、外傷(主に顔や手足の損傷・骨折など)や体表の腫瘍の切除手術なども重要な一分野です。その多くが人目につく部位であるため手術の仕上がりに高いレベルのものを求められる宿命で、傷のプロフェッショナルであるといえます。当院では主に皮膚外科領域での治療を担当することになりますが、その際にもできるだけ目立たない傷になるよう最大限配慮して治療をおこないます。また。眼瞼下垂症やばね指などについても診察可能です。他にも何かお困りの事がありましたら一度ご相談にいらしてください。

皮膚腫瘍(できもの)

皮膚のできもの

皮膚の表面や皮下に発生した腫瘍やしこり等が皮膚のできものです。具体的には、粉瘤、おでき、脂肪腫、ほくろ、いぼなどが含まれます。

粉瘤

毛穴の部分から袋状の構造物が発生し、そこに皮脂やアカなどの老廃物が溜まっている状態が粉瘤です。この場合、溜まったままで排出されることはないので、徐々に大きくなっていきます。大きさは、数㎜~数㎝程度(最大で10㎝以上になることもあります)で、半球状に隆起する腫瘍が現れるようになります。その数は単発~複数程度もあれば、多発することもあります。基本的に自覚症状はありません。ただこの粉瘤に何らかの原因で炎症が起きるようになると腫れや痛みがみられるようになります(炎症性粉瘤)。発症しやすい部位は、顔、首、耳介、背中、腕などの部位です。

治療

良性の腫瘍であることから、放置していても問題はありません。ただ感染を繰り返す場合は、感染が治まった段階で摘出手術を行うことがあります。局所麻酔下で袋状の構造物(嚢腫壁)ごと取り除く、あるいは「くり抜き法」と呼ばれる方法もあります。「くり抜き法」は、局所麻酔下で、粉瘤に向けて円筒状のメスを刺し込みます。その部分をくり抜くような形で内部の袋状の構造物もできるだけ取り除きます。除去後は縫合をしませんので、傷が閉じるまでに2-3週間かかります。手術時間が短時間で済む、傷が小さいなどのメリットがありますが、袋に溜まっている内容物を完全に取り除けないことがあります。

腫れがひどくて膿が溜まっている炎症性粉瘤の場合には、切開排膿術が必要になることがあります。抗菌薬の内服も行います。

脂肪腫

脂肪腫

ほくろ

ほくろ

いぼ

いぼ

やけど

やけど

熱傷とも呼ばれます。これは皮膚組織が高温によって損傷を受けている状態を言います。やけどの原因は日常生活では熱湯や油、ストーブの火などが多いですが、電気あんかなどとの長時間接触による低温熱傷も含まれます。また海水浴などで日焼けすることもやけどと同じ状態です。
やけどは深度によって大きく三段階(I度熱傷、II度熱傷、Ⅲ度熱傷)に分けられ、それぞれ症状と経過が異なります。
いずれも早期に治療を開始することが大切です。

治療

I度熱傷ではステロイドの外用薬を使用します。II度熱傷では、水疱の内容物を出すなどの処置が必要になり、その上でステロイド外用薬を用います。その後は経過により外用薬の変更や傷を覆うガーゼなどを調整しながら上皮化を目指します。Ⅲ度熱傷はデブリドマンと呼ばれる厚くなった壊死組織を除去する処置が必要になり、さらに損傷をうけた面積によっては植皮手術が必要になることもあります。その場合は紹介になります。

ケロイド

外傷や手術時の傷等がきっかけとなって発症するのがケロイドです。本来、傷を治すために必要な炎症が過剰に続いてしまうため、血管ができて赤く見え、膠原線維(コラーゲン)ができて盛り上がります。痛みや痒みに加え、見た目を気にされ受診される方も多いです。この盛り上がりが傷の部分に限定しているのであれば肥厚性瘢痕、傷の部分以外でも皮膚の隆起がみられ、だんだん大きくなっていくのがケロイドです。

発症の原因については、膠原線維の生産過剰によって引き起こされるとしていますが、傷があったからといって必ずしも起きるものではなく体質的な要素が強いです。明らかな傷の覚えのない場合でも、胸のにきびなどの小さな傷が誘因になります。また手術後の傷や、女性では下腹部の帝王切開後の傷からできることもあります。
なおケロイドがよくみられやすい部位は、耳たぶ、胸部、肩、腹部、背部等です。

治療

当院ではステロイドの塗り薬やテープの貼り薬、注射薬で治療を行います。
いずれも保険適応です。
注射は多くても1ヶ月に1回程度で十分な場合が多く、普段はステロイドテープを使うことで効果を維持できます。
当院では極力痛みが少ないように、麻酔薬を混ぜ、できるだけ細い針を使い、柔らかい部位から注射をするなどの工夫をしています。
瘢痕を引き金として拘縮(ひきつれ)が起きていると判断されると外科的治療(手術)による切除が検討されます。ただ術後に再発するリスクもあるので、手術を行うかは慎重な判断が必要になります。

以下は火曜AM、木曜AMの形成外科外来で診察可能

脂肪腫

良性腫瘍のひとつで、脂肪組織が増殖していくことで発生します。この場合、皮下組織でみられるケース(浅在性脂肪腫)、筋膜下で発生するケース(深在性脂肪腫)があります。どちらのタイプであっても脂肪の塊なので、脂肪腫自体は軟らかくなっています。原因については現時点では不明とされています。

主な症状ですが痛みなどはありません。大きさは数㎜~10㎝程度とバラついていて、単発が大半ですが、多発する可能性もあります。発症部位はさまざまですが、よくみられるのが肩、背部、臀部などです。患者さんに40~50代の女性が多いのも特徴です。

治療

良性腫瘍ですので、日常生活に支障をきたさなければ経過観察で問題ありません。しかし、この腫瘍が大きくなって押すと痛む等の症状がある、サイズが大きく切除したいという場合は手術療法となります。この場合、局所麻酔下での脂肪種の摘出となります。切開しての取り出しとなるので、摘出後は切開した箇所を縫合して終了となります(術後1~2週間程度経過してから抜糸をします)。なお一度摘出すれば、再発することはほとんどありません。

手術創

手術によって発生した傷のことを手術創と言います。この手術創が治るまでには一定の期間が必要とされています。大まかな流れですが、縫合処置から3日程度は、腫れや痛みなどがみられ傷も赤い状態ですがこれは通常の経過です。その後は、1-2週間で抜糸を行います。傷が癒合した後も新しい細胞や血管が増殖するため3カ月程度(場合によっては半年ほど)傷は赤みのある時期が続きます。傷はまだまだ硬く、軽いかゆみの症状がみられることもあります。さらに数週間が経過すると細胞活動は落ち着き、傷跡も肌の色に近づいていくようになります。この過程の間で、物理的な刺激を受け続ける、あるいは遺伝的要因や体質によって、肥厚性瘢痕やケロイドがみられることがあり、程度によっては治療が必要になるため定期的な観察が重要です。他院で受けた治療の傷跡のフォローも対応しますのでお気軽にご相談ください。

眼瞼下垂

瞼が下がってきて視界を遮ってしまっている状態です。手術により改善が可能です。程度・原因によって適した手術方法が違います。
当院で対応が難しい場合は紹介させていただきます。

ばね指

弾発指とも言われ、指の曲げ伸ばしに支障がでたり、腱が引っかかってカクカクしたりします。原因は指の付け根のところにある腱鞘の炎症(腱鞘炎)で、外用薬の他にステロイドの注射や手術をおこない改善を目指します。